「ねぇ、ゴルフの打ちっぱなし行く暇あるなら皮膚科行ってよ。
もしそれが悪性のもので手遅れとかになったらどうすんの?
ずーっと市民のために働いてきてやっと定年で自由に好きなことやってる間に呼び出しくらうことも無くなったのに、ここでポックリ天に召されたらどうすんの?
じいちゃんの人生楽しいこと無しじゃん!
病院嫌だとか言ってないで早く専門家に見てもらってきてよ!」
父の顔に出来たデキモノがなかなか治らずにいた頃、当時独学でハマっていたハワイアンキルトで有名なキャシー中島さんが皮膚ガンで手術をしていたことを知って嫌な予感がした。
母や弟1号がそれとなく父に皮膚科に行くよう勧めたけれど「大丈夫だ」と聞く耳を持たなくて困っていた。
そうなったら口うるさい長女の私が言うしかないじゃん。
「キャシーさんがホクロだと思っていたものが皮膚ガンだったらしいから!
何も無かったらそれで良かったで済むじゃん。」
「うるせぇ小姑だなぁ…」
ボソっと言っていたけど後日ちゃんと皮膚科に行ったらしい。
「ただのデキモノだって。血行を良くする薬を出されたからこれ飲んで様子見だ。」
と言っていたが、なかなかデキモノが小さくなる気配がない。
母のアドバイスで違う皮膚科に行くことになった父。
「違う皮膚科に行ったらよぉ、
『これはデキモノじゃないから紹介状書くから大きな病院に行ってくださいね。
なんで〇〇皮膚科の先生は気づかなかったのかなぁ…』
って言われてよぉ。ビックリしたわ。」
後日、手術で取り除いたものの病理診断結果が出て
「ステージⅠだった。悪性だ、ガンだよ。
お前の勘、怖いわ。」
と父からの電話で寒気がした。
別の皮膚科を勧めた母の勘も怖いけどな…
悪いところは全部取ってもらい、よそへの転移も無く、術後3年だか5年だかの検査も問題なかったので今もゴルフを楽しんでピンピンしている父。
口の悪い小姑もたまには役に立つらしい(笑)
冬物の整理をしていたら
その当時に作っていたキャシーさんデザインのタペストリーが出てきた。
命の恩人みたいな感じです。